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森口岳(MORIGUCHI Gaku)

写真

専門分野

 *都市人類学/スラム研究  *アフリカ植民地医療史  *人種とセクシュアリティ  以前は専門分野として「医療人類学者」とか「開発人類学者」として紹介されることが多かったのですが(いまでも多い)、それらのカテゴリーにはどうしても馴染めず、さらには「都市人類学者」という名前もしっくりこないまま、数年が過ぎています。医療史家、アフリカ都市民族誌家とかいう方がまだいいのですが。とにかく、「医療」とか「開発」とか「都市」とか、あまりオーソドックスな文化社会人類学で扱ってこなかった境界部分で、棲息している研究者ということで、はい。。。

調査地

ウガンダ


 東アフリカにあるウガンダ共和国の首都カンパラのスラム地域でフィールドワークを行っています。カンパラ近郊にはおおよそ20以上のスラムが散在しており、スラムの特色もそれぞれによって当然異なってくるのですが、中心地に近い3つのスラム地域に絞り、主な調査を行っているところです。調査を行っているスラム名は残念ながら土地問題などの経緯もあり、ここでは明かせませんが、スーダンやコンゴ、ルワンダからの難民、ウガンダ北部からの国内難民などが混在する、東アフリカの中でも最も刺激に満ちた空間となっています。 写真1  「アフリカの真珠」とかつてチャーチルに呼ばれたウガンダ。ヴィクトリア湖北岸に位置し、1900年から保護領として世界秩序の中に組み込まれた。「ウガンダ」の国名はカンパラを含む国の中央部に位置しているブガンダ王国から取られた。大湖地方の中心部として、ヴィクトリア湖以外にキョガ湖、アルバート湖、エドワード湖を擁している。 写真2  七つの丘の街、カンパラ。実際のカンパラ近郊の丘の数は七つ以上あり、年々都市の規模は拡張し続けている。現在、人口は推定120万人。 写真3 上空から見たカンパラ。右手前に見えるのはブゴロビの集合住宅。真ん中を流れているのはナチブヴォ運河である。 写真4  調査地のスラムの入口から。傍目にはさながらアジアのスモーキー・マウンテンの風景に見えるが、スラム内部はゴミはそれほど見られない。それなりに清潔な空間である。 写真5  スラム内の家屋の庇から。カンパラの気候は基本的に高地にあることもあり、温暖だが赤道直下近くにあることから乾季の日差しはそれなりに厳しい。スラム内の家屋の屋根はほとんどがトタン屋根であり、家によってはセメントも用いられている。そこからウガンダ、カンパラがアフリカの中でも比較的に富んだ地域であるということが見て取れる。
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研究概要とこれから

「ウガンダ、カンパラのスラムにおける移民たちの共同体研究」
 全般的に、ウガンダ、カンパラの事例を通してみた権力と周縁の関係についての考察を進めたいと考えています。
 ですが、それはあまりに壮大なヴィジョンなので(苦笑)、今の段階では次のようなテーマで、アフリカの都市民族誌を描くことを考えています。
1.ポストコロニアル国家における権力と「開発」:ウガンダにおいて「開発」という財の分配が、ムセヴェニ政権の下における地方分権化や文化的首長の擁立などと並行して、どのように世俗的な権力を形成してきているか?

2.アフリカ都市部での「民族/階級」の(再)形成:カンパラの「階級/民族」が(1.で踏まえたような)ウガンダ近代の政治的な背景を基にどのように変容していったか?

3.アフリカのスラムの政治的両義性:(2.の結果として)ウガンダにおける移民/難民たちがどのように都市の周縁を形成しているのか?

 これでもまだ壮大ですね。。。困った。
 とりあえず短期的にはカンパラの貧困層(移民や娼婦の集団を含む)の生活誌の完成を目的にし、長期的には、アフリカという政治的に混沌とした地域において、さらに混沌とした都市のスラムの中で移民の中に混じって暮らす経験(周縁部分)から見える、権力/富/性などをめぐる欲望について考えていければと思います。

研究のキーワード

東アフリカにおける移民・難民/スラムにおける親族形成/都市における周縁性/都市の身体性/近代経験としてのエスニシティ/セクシュアリティ/ポストコロニアル近代国家と開発政策/権力と医療/富と呪術/政治と癒し

所属

一橋大学大学院社会学研究科 総合社会科学専攻社会人類学研究室 博士後期課程

連絡先

 ここ3~4年は日本にいることがほとんどないので、住所は不定、大学も名ばかりの所属となっています。連絡先も海外が中心になりますので、何かの折にはメールにてご連絡ください。
e-mail: gakumpola@gmail.com
URL: http://mpola.exblog.jp/

関わっている科研・プロジェクト(HP)

 平成22~25年度 科学研究費補助金(基盤研究(B))/「ウガンダ・アルバート湖岸の漁村に生成する共同性――移動と漁労に住まう人びと――」/共同研究者(現地調査担当)

主な業績

論文
2007a,“Tropical Medicine and Colonial Urban Sanitation: The Historical Formation of Colonial Kampala.”(「植民地主義下における熱帯医学と都市衛生:ウガンダ、カンパラの都市形成史を事例にして」)池田光穂編『「価値の多元化状況における保健システムの変貌」平成15~平成18年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書』 pp.25-38.
2007b,“The Rhetoric and Strategy for African Ethnographies: Structure of Interpretation/Translation of ‘Culture’ and ‘Society’” (「文化」/「社会」翻訳の構造―アフリカン・エスノグラフィーにむけてのレトリックと戦略―) Proceedings of Joint Symposium in Kampala, 2007. Re-contextualizing the Self/Other Issues: Toward a HUMANICS in Africa. Makerere University, Kampala, Uganda. pp.10-12.
2006, 「植民地下ウガンダにおける梅毒」『くにたち人類学』Vol. 1. pp. 55-72.
2005,「帝国医療研究の展望―フーコー論的再検討―」『熊本文化人類学』Vol. 4. pp. 16-32.
 口頭発表
2010 「環境保護から王権保護へ:ウガンダ、カンパラにおける二つの暴動の比較」、日本アフリカ学会 第47回学術大会 於:奈良文化会館
2009 “Powers of State and Conflicts of City: Urban Violence, Ethnic Tension and Class Struggles in Modern Kampala, Uganda” in the Seminar in Nairobi Office of Japan Society for Promotion of Sciences.
2007 “The Rhetoric and Strategy for African Ethnographies: Structure of Interpretation/ Translation of 'Culture' and 'Society'”, Joint Symposium in Kampala
2006 「近代医療はグローバル化するのか?」、国立民族学博物館共同研究会「グローバル化がもたらす保健システムの変貌、主催者:池田光穂 於:国立民族学博物館
2004 「英領ウガンダ、カンパラにおける植民地都市と都市人類学―マンチェスター学派以前の都市社会観の一つとして―」、東京都立大学社会人類学研究会
2003 「英米における近年のアフリカ植民地医療の歴史研究:フーコーの影響と医療史における人類学研究の可能性」(日本民族学会・第37回研究大会(於:京都文教大学)「帝国医療の逆襲」セッション

所属学会

文化人類学会
日本アフリカ学会
くにたち人類学会

自分の研究とつながりを期待する研究分野・テーマ

・アフリカ近世及び近代史(特に大湖地方の王国史から植民地史など)
・ポストコロニアル開発研究(単なる「開発」研究は不可)
・ウガンダにおけるルワンダ移民の研究
・アフリカにおける移民・難民のポリティックスおよび生業経済に関する研究
・ヨーロッパ側から見た植民地研究

その他

上記以外での著作物
2007 「6章 グローバル化する近代医療」(奥野克巳と共著)、池田光穂・奥野克巳共編、『医療人類学のレッスン―病いをめぐる文化を探る』、pp125-147. 学陽書房
2004 「新刊紹介:近藤英俊・浮ヶ谷幸代編著『現代医療の民族誌』東京, 明石書店,」民族学研究 Vol. 69(3)
1998 「ウガンダ調査報告」、『ボンパルタージュ』(シェア(国際保健市民の会)会報)、Vol. 49, pp. 15-16.
 海外での調査経験
1997年11月-12月 NGO国際保健協力市民の会のアフリカ、ウガンダ共和国への調査に調査補助員として参加。都市部および農村部での参加型開発に従事。
2006年12月-2007年11月 一橋大学院社会学研究科博士後期課程の研究調査として、ウガンダ共和国の首都カンパラのスラムでのフィールドワークに従事。
2008年3月-2008年3月 在ウガンダ日本大使館草の根・人間の安全保障無償資金協力にて約40案件のプロジェクト管理・調査に従事。
2010年6月-12月(予定) 科研費(B)「ウガンダ・アルバート湖岸の漁村に生成する共同性――移動と漁労に住まう人びと――」研究代表者 田原範子(四天王寺大学社会学部教授)において共同研究者としてウガンダ、カンパラにて調査予定。